十二獣の変遷〜異色の環境トップ〜
お久しぶりです、あおいういです
改訂発表まで一週間を切り魔術師の到来や新弾も間近ということでこの環境の遊戯王から離れる人が多い期間となりました
前改訂が大幅改訂だったためこの改訂は軽いものになる予想ですが、やはり改訂前はモチベーションが下がりますね
今回も暇を持て余しているので10月8日に発売された「十二獣」を中心に振り返っていきたいと思います
各カードの効果は説明しないので分からない方はwikiなどで確認お願いします
この先まだまだ活躍が期待される十二獣、環境が変わることで今までの構築を参考にすることもあると思います
なのでこの記事では十二獣発売以降の環境や構築の変遷とその理由を中心に話していきます
もくじ
①十二獣の登場
②環境に進出する十二獣
③環境を埋め尽くす十二獣
④まとめ〜異色の環境トップ〜
①十二獣の登場
メタルフォーゼやABCがトップシェアに位置し、カエル、ヒーロー、青眼、コズモなど様々なデッキがそれを追従している環境に現れた新星、それが十二獣でした
最初のTwitterでの反応としては
「これは一強になる、エンタメの再来」
や
「モルモラット1枚の動きはおかしいけど、パワーの最大値が低いから一強にはならない」
など双方の意見があったように思えます
結局は
パワーの最大値は低いが抜群の安定性で十二獣だらけになった
というのが正しいと思います
では具体的な印象を見てみましょう
十二獣登場時の印象は
モルモラット1枚でドランシア、フレシア
さらにベイゴマや会局でドランシアトレーナー3枚ドロー
しかもベイゴマや会局ではマンティコアループもいける
などの印象が強かったように思います
これを踏まえた自分の十二獣の初期がこちらです(2016/10/16)
大きなテーマとして展開に必要なパーツの少なさを生かして皆既日食、ツインツイスターなどの後手捲りのしやすさを重点におきました
もちろんこれはモルモラットやその他下級一枚で動ける十二獣ならではの構築で、メインギミックを少ない枚数で完結させることでその他の枠を後手捲りのカードに割けることが大きな要因です
メタル、ABCが環境に多く十二獣が流行り始めの当時は先攻展開がひたすら強くハイパー先攻マウントゲーが横行していました
その環境に適応するために最大限後手に寄せることが他のデッキとの差別化であり、勝率に直結する要因であったと思います
神系統は当時自分は調整環境に多かったメタルを一番視野にいれていたのでin、皆既>月 であるのもそれに由来します
しかしただ後手を捲る構築にするだけでは先攻展開の強さが確保できていないと感じたため、メインギミックに限りなく近く先攻展開の強度を段違いにするベアーマンやフレシアギミックを採用しました
サイドには十二獣混じりのデッキの強展開を返すための「ライトニング・ボルテックス」、逆に先攻を取った際にライボルや皆既で盤面を返されにくくする「神の摂理」の採用
このサイドの「ライトニング・ボルテックス」に関しては十二獣の構築の変化、ミラーの増加に伴ってサイドから抜けていくのですが理由に関しては後ほど
以上が初期の構築となります
ちなみにこの時期の十二獣の乗せ方は
ワイルドボウ→タイグリス→ブルホーン(モルモSS)→ドランシア(モルモSS)
でした
増殖するGのケアとマンティコア阻止で若干入っているD.Dクロウのケアを選びました
幽鬼うさぎはまだ流行っていなかったのでケアしていません(この展開にするとドランシアに直撃します)
メインが45と太ったことの大きな理由は前回の記事参照です
ちなみにこれ以降はミラーの増加に伴い、41枚を超えたことはありません
理由は単に最強の手札誘発増殖するGを引きたいことに由来します
この時期のまとめとしては
「先攻展開が強い十二獣、何にでも混ざってパワーアップ」
こうして抜群の安定感と先攻展開を誇る十二獣が環境に放たれました
②環境に進出する十二獣
十二獣が環境に進出し始めた今、もちろん先攻展開を指をくわえて見ているだけではありません
十二獣はその余りある枠に必要最低限の罠と共に後手を捲る機能を詰め込み対抗しようとします
手札誘発に関しては増殖するG3枚に加えて幽鬼うさぎも流行りはじめ、月の書、聖杯やツインツインスターも増え後手捲り性能に磨きをかけていきました
その傍ら、先攻展開は捲られ逆に先攻展開を捲れない他のデッキの大部分は十二獣に侵食されていきました
その環境の変化とともに十二獣の先攻展開も変わっていきます
捲られた後の展開が厳しくなるフレシアやベアーマンは減少
ベアーマンに関しては会局やインヴォーカーから入らなければならない関係上Gのケアが難しく使用感が悪くなっていきました
以上の点を踏まえたこの時期の構築がこれです(2016/11/02)
この時点ではメインにツインツイスターやコズミックがフル投入されていますが、環境が変わるにつれて罠が薄くなり採用枚数が減っていきます
また、誘発の流行により十二獣の乗せ方も変わり
ワイルドボウ→ブルホーン(モルモSS)→タイグリス(モルモ引っ張る、モルモSS)→ドランシア
になりました
マンティコアの減少から採用率がほとんど無くなったクロウケアを外しうさぎのケアを取り込んだものです
さくらを打たれてもランク4が成立するのでそのケアにもなっています
この時期のまとめ
「意識すべきは先攻から後攻へ、環境の大部分が十二獣に」
③環境を埋め尽くす十二獣
すでに十二獣環境が成熟しつつあり薄々気づいてきます
「ミラーで先行ドランシア、エメラル+αって盤面返せなくない?」
先行ドランシアエメラルに使う札がモルモラット1枚、サーチ&ドローを含めると展開後の手札は+1で6枚 もはや初手より多いです
つまり
先行側 手札6枚 ドランシア+エメラル
後攻側 手札5枚+ドロー
からスタートするわけです
また墓地に方合がある場合それに+1枚、先攻側はドランシアの妨害や罠の妨害も加わりそもそも展開すら通らない始末
しかも十二獣はメインギミックで罠を踏むのが難しく、手札誘発に関しては直撃するので後攻からの攻めは絶望的です
こんな先攻に正攻法で挑む方が無理です
かといって罠でワンテンポ置こうというのも厳しい話になってきます
これはEMEmやEM竜剣士でも覚えがある方も多いでしょう
先攻展開を許した場合、もちろん盤面が作られます
その盤面を強制脱出や激流葬などで返せたとしてすんなり勝てたでしょうか?
もちろんNoです
盤面を返せたとしてもその豊富なリソースで罠も霞みます
これと同じことが十二獣でも言えます 先行展開が決まった場合それを1:1交換や並みの方法で返すことはかなり困難です
ABCやメタルもアドバンテージを超越した先攻展開をするじゃないか、と言われると確かにそうです
しかし十二獣はABCと違って先行展開に安定感があり尚且つシステムダウンという致命的な弱点がありません
またメタルと違って盤面にカードを置かない選択肢もあるので全体除去が効きづらかったり魔封じという致命的な弱点もありません
EMは盤面いっぱいリソースもいっぱいなのでさすがにそれには及びませんがかなり返しづらい先攻展開といえます
ではどうやって後攻で先攻を捲っていくか?その結論は大きく分けて二つです
1. 展開をさせない
2. 展開させた後に除去する
要するに
1. 手札誘発
2. 全体除去
です
1に関しては言わずもがな増殖するGです
モルモラットの特殊召喚効果に打った場合
先攻 5枚+ブルホーン
後攻 5枚+ドロー
もしくは
先攻 5枚+ドランシア
後攻 6枚+ドロー
にというふうに勝負の土台に立てます
飛翔するGはひとたび決まれば先攻後攻をそのままひっくり返せるカードですが、会局や月聖杯、召喚権が残っている場合はテンキからのユウシで殺害されてしまうので注意です
しかし展開を0にできる誘発はとてつもなく貴重なので対十二獣では強力なカードです
先攻の場合に持っても強いのがgoodです
幽鬼うさぎに関しては先攻展開に直撃はさせることはできませんが、飛翔Gと一緒に持っているときや増殖するG中のワンキルを阻止することができるため他誘発の補佐という役割が大きいでしょう
中盤以降に墓地からタイグリスで引っ張らなければいけないシーンに直撃させるのが一番強い使い方です
次に全体除去のジャンルについて見ていきます
ここで全体除去に関係して初期の構築で採用していた「ライトニング・ボルテックス」について見てみましょう
ライトニングボルテックス→先ほどの説明の通り先行は6+盤面 なのでこのカードを発動した時点で手札は4枚、よって
6枚 vs 4枚
の構造ができます。この時点で不利になっているのは明らかです
要するにライボルは先攻展開で盤面を一気に前に放出する相手じゃないと機能しないわけです
十二獣が発売された当初は十二獣は主に先行展開を強くする役割でした
それが段々と先攻展開の盤面自体の強度は下がり、ドランシア+エメラルを基本としその後ろ盾として罠や誘発を構えることが主流になりました。そのため前盤面にアドバンテージを放出することが無くなってきました
よってライボルで得られるアドバンテージが少なくなり「盤面を返した」だけでは勝ちにも繋がりにくくなったわけです
そこで白羽の矢が立ったのが
「妨げられた壊獣の眠り」です
後に壊獣十二獣と称されることになります
他と同じく枚数的な差を考えてみましょう
先行 6枚 +エメラル、ドランシア
後攻 6枚
↓
先行 6枚 なし(怪獣が戦闘破壊されるため)
後攻 5枚 怪獣(打点3000↑)
枚数的な差で見るとかなりイーブンに持ち込めていることが分かります
また枚数以上に強い点があり、それは
・障壁や通告や誘発などを貫通して高い打点が成立する点
・相手の怪獣をドランシアなどで破壊できた場合、大きくライフ取れる点
この2点です
とくに前者が大きく、妨げが成功した瞬間に盤面的主導権は自分に移ります
まず先攻側
A:ドランシア+エメラル を越えてごらん
後攻側妨げ発動
B:怪獣を越えてごらん
と形成逆転します
しかもAの立場になると増殖するG、幽鬼うさぎ、飛翔するGどれも妨げに対抗できないにも関わらず
Bの立場になると怪獣を越えて来るために十二獣の展開をすることを前提とすると、これらの誘発全てをうまく使うことができます
そういった意味でかなりのパワーを誇る盤面逆転カードと言えます
もちろん壊獣の素引きの弱さが目立ちます。ですが自分はそれは贅沢だと思っています
ハイパー先攻マウントゲーの環境はいつでもそうなのですが、ゲームメイクで心がけることは
先攻側:
元から有利だから負け筋を潰していく
後攻側:
元から不利だから勝ち筋を見つけていく
この2つです
つまり後攻側で大事なのはスマートに裏目のない勝ち筋を探すことではなく、裏目があっても泥臭く勝ち筋をもぎ取ることだと自分は考えています
もちろんスマートな勝ち筋があるならそれを採用するのが一番です
しかしそれが見つからなかったら妨げのようなリスクを背負った勝ち筋に頼ってもいいと思っています
前置きが長くなってしまいました
これを踏まえてできた構築がこちらになります
先攻の際に入れる神の警告や神の宣告は妨げという負け筋を減らすカードと考えています
この時期のまとめ
「十二獣がほとんどを占める環境に。手札誘発増、壊獣の姿も現れて後手の意識が中心に」
ここから分かる通り十二獣の発売後そのシェアはどんどん増えていき、構築と意識は先攻→後攻へと傾いてきたといえるのではないでしょうか
これはモンキーボード発売後のEMEm変遷と似ています
環境が進むにつれてアリアドネ(先攻重視)の構築は減っていった印象でした
やはり近年のパワーインフレの中で勝率を上げる鍵は
いかに後攻で勝つか
にある
そんなことを改めて実感した2ヶ月間でした
④まとめ
十二獣は異色の環境トップである
唐突ですが自分はこう感じました
「異色」というのはそのメインギミックのシンプルさにあります
かつて環境トップに君臨したデッキは総じてメインギミックの枚数が多いです。
自分が思うに、
征竜、シャドール、ネクロス、EM、DD、メタルフォーゼ
などです
しかしこの十二獣は例外でメインギミックがかなりスマートになっています
ではなぜそんな十二獣が環境トップであるのか
この疑問を考えるために少し過去のデッキを振り返ってみます
枚数が少ない、という面でみると当てはまるデッキはどの環境でも存在していました
例えばヒーロー(ネクロス環境) ヒーローアライブ一枚で成立するダークロウ+後続、エアーマン1枚で成立するプトレマイオス
など1枚や2枚で機能するギミックが盛りだくさんです
では枚数が少ない方ヒーローはネクロスより強かったか?実際はそんなことはなく拮抗していました(自分はネクロス側が優勢だったように思います)
その理由はデッキパワーにあります
(この場合のデッキパワーは最大馬力だけではなく持久力や柔軟性も含む)
ヒーローと対峙していたネクロスはメインギミックが分厚く展開に枚数を使うデッキです
枚数を多く使う、ということはほとんどの場合パワーの高さを示しています
シャドール然りメタル然り、デッキ全体がいくつもの歯車で動きだし大きなパワーを生みます
また安定感の面でもメインギミックの少なさが響きます
少ないカードで動く事を目的としているヒーローにおいてヒーローのダブりは致命的でした
例えばシャドーミストを二枚引いたりエアーマンとシャドーミストを同時に引いたりなど
かといってヒーローを減らすと初動が減り逆に事故率が上がり...このジレンマに悩まされる日々、自分も経験した覚えがあります
テラナイトでも同じような悩みを持っている人がいたでしょう
モンスターはデネブ1枚だけ握っていたいくらいだけど、初動のデネブにアクセスできるカードは多い方がいいし、デネブから引き出すアルタイルも多い方がいい
しかし初手でそれらを引けば引くほど初手のパワーが落ち環境トップのハイパワーに押しつぶされてしまいます
要するにメインギミックの少ないデッキは
初動の安定性とパワーの両立が難しい
ということです
初動の安定性を求めれば求めるほど最大馬力や持久力が低くなり、パワーを高めようとすればするほど初動に関係ない事故要素や不純物が増えていきます
そもそもパワーの最大値もメインギミックが分厚いデッキには劣る場合がほとんどです
少ないメインギミック+その他 で構えるデッキは総じてこのような問題に悩まされてきました
ここで簡単な図にしてみます
ヒーロー
ミスト
↓
エアー
↓
バブル
もちろんエアーマンでシャドーミストも加えられますがここでは一番綺麗な流れだけを取り上げました
ここで重要なのは
シャドーミストからはバブルマンに行き着くことができるが
バブルマンからシャドーミストには戻れない
という一直線かつ細い流れを持つ構造になっている点にあります
よってバブルマンを引いてしまって綺麗な流れに乗れなかったり、初動が引けなくてそもそも流れに乗れなかったりという問題を抱えてしまいます
それは特にパワーの最大値を上げる過程において顕著に現れます
パワーの最大値を上げるということはバブルマンのように流れの最終地点に位置するカードを増やすということです
その結果初動は増えずに不純物は増え事故率は増していきます
そう考えてみると他のメインギミックが多い環境トップはヒーローなどとは違う構造を持っています
ネクロスの場合万華鏡ユニコールからスタートし万能サーチの虹光、各種儀式魔法はお互いにサーチしあうことができ、シュリットで後続は途切れない
シャドールの場合はネフィリム並びに下級全体がこの体系を作りだしていて、DDは地獄門で尽きないサーチ
など無尽蔵と言わんばかりの途切れない流れを作り出しています、なおかつスタート地点は幾多も存在しお互いがお互いに作用し合う
この大きなシステムの違いがこの2つのタイプのデッキの、根本的にあるパワーの差の由来になっています
お待たせしました ここで十二獣の登場です
では今まで見た観点で十二獣がどう評価されるか見てみましょう
デッキパワー
メインギミックの少なさに対してはかなり高い
動きが単純なんで言うことなしです
エクストラを使いきってしまったときのパワーが皆無なので持久力という意味では劣るかもしれません
ワンキルルートなどに関してはこの記事では紹介しないので違うブログを参考にしていただけると幸いです
ワンキルルートというものがある時点でパワーが高いといってもいいかもしれません
安定感
ここが肝です
言わずもがなですが十二獣はどの下級からでも1枚でサーチ+除去ができます
使っていると当たり前になりがちですがやっていることはヤバイです
要するにスタート地点は幾多も存在しお互いがお互いに作用し合うという意味ではメインギミックが多いデッキと同等の安定感を誇ることになります
まとめると
・デッキパワー
メインギミックが分厚いデッキには劣るが高め
・安定感
今までのデッキ随一の安定感
となります
またメインギミックが少ないゆえの恩恵を受けることもできます。それは前節でも述べた通り
メインギミックの少なさ故に環境に合わせた構築やメタの対策がしやすい
ことです
これは言葉通りなので説明は不要でしょう
後手意識を高めたいなら皆既やツイツイやその他諸々を入れればいいですし、サイドチェンジで苦手を補うのも簡単です
その構築の自由度がメインギミックの少ないデッキの魅力であると感じます
ある程度のパワー
と
重量級並みの安定感
を持ちながら
軽量級特有の器用さ
メインギミックの残り枠で構築を自由にいじることができる
この3つの要素が異色の環境トップたる所以だと言えるでしょう
最後になりますがみなさんはこの十二獣で勝つためには何が一番大事だと思いますか?
自分は環境を読んで構築を先取りする能力だと考えています
メインギミックでの大まかな動きが決まっている十二獣、勝敗が絡む一番の要因は構築だと思います
今環境では調整をたくさんしたというよりも構築を色んな方と相談してそのままCSに持っていくことが多かったです、その結果毎回良い構築をCSに持っていくことができ勝率も高い値をキープできました
それほどこの環境は構築がものをいう、いわゆる構築ゲーだったと実感しています
もちろん細かいプレイも大事ですが構築の完成度が勝敗に響く試合が多い印象でした
なので他のデッキにも言えることですがTwitterで先駆者の構築を待っているようでは遅いです、なぜならその先駆者は結果を出した後にはもう次の環境を読んだ構築を作り始めているからです
特に新環境が近い今、構築を見定めてスタートダッシュすることが大事です
ぜひみなさんもいち早く新環境の情報を手に入れて考察してみましょう
長くなりましたがここまで読んでくれた方、ありがとうございました
また次の環境で会いましょう!