SPYRAL 〜構築の流れと総括〜 + 追記
お久しぶりです、あおいういです
恐竜環境が終わりSPYRAL環境になって早3ヶ月が経とうとしています。恐竜環境の終わりを望む声が多い中ついに訪れたSPYRAL環境、皆さんどうでしたでしょうか?
恐竜以上の先攻ゲー、誘発が無い絶望、誘発を悠々と貫通してくる展開
どんなに勝っていたプレイヤーでも一度はやりきれない感情を経験したと思います
そんな環境でしたが自分は思うような結果を残すことができませんでした。毎回勝ち越しはするものの大事な所で勝利できずチーム敗退が続きました
その負けがプレイであったときは迷いなく反省できたものの、そうではないときが問題で、自分のプランがベストだと考えた上で起こってしまった不可避な負けなのか、そもそもプランが間違っていたのか、もし間違っていたとして理不尽な負けを解決しようと追求した末に全体の勝率を落としてしまうのではないか
常に悩みを抱え続けた環境でした
今回はそんな環境を必死にもがいた記録としてこの記事を残していきたいと思います
もちろん自分の考えたことが正解だとは思いません、むしろ負けていることが正解ではないことを裏付けています。ですが、現在の自分をここに残すことで将来の勝利への糧になると信じて書き記していきます
今回のテーマは構築のスタートからゴールまで、SPY環境の総括です
構築がどの地点からスタートし、どのような流れを通じてゴールにたどり着いたか
を中心に話していきたいと思います
何か質問のある方はTwitter@aoiuiui までよろしくお願いします
もくじ
構築
1.スタート地点
2.メインギミック
3.サイドデッキ
おわりに(SPY環境の総括)
追記 ブログについて
構築
最終的にまとまったSPYRALです(以後SPY)
神託はセフィラの流行次第で混沌の場に変更していました
この構築を説明の関係上3つの項目で分けていきます
1.スタート地点
もちろんですがSPYはかなりパワーの高いデッキであり、環境トップレベルです
基本的にパワーが高く、事故の少なさ、先攻展開の質、誘発貫通能力、ワンキル性能どれを取っても高いレベルです
自分は今環境このSPYが最強で、環境の中心であると判断しました
よって求められていることはSPYに勝つことです
ここでSPYミラーで負けるゲームを見ていきます
負けゲーム
SPY先攻視点
・誘発を打たれ、盤面が弱くなった(特にG)
・事故を起こした
・相手誘発なしで捲くられた
SPY後攻視点
・相手に盤面を作られ妨害を踏めなかった
・事故を起こした
これらが原因です。当然といえば当然のことばかりです
このうち頻度が高いのは
・誘発を打たれ、盤面が弱くなった(特にG) 先攻視点
・相手に盤面を作られ妨害を踏めなかった 後攻視点
この2つです。よってSPYに勝つために必要なことは逆側の視点で
誘発で止めること 後攻視点
妨害を作ること 先攻視点
これらをメインに考えることにします
先攻では誘発を乗り越えて妨害を作る、後攻では誘発を引くことが目標ですが自分は誘発を増やす選択をしました
理由は単純で、後攻で誘発を引くには誘発を引くしか選択肢が無いからです
先攻で誘発を乗り越えて妨害を作る手段は、誘発をケアするルートを選択し乗り越えること、罠などで妨害を簡単に作り出すことの2つです
特に前者はプレイによってメインギミックだけで解決できるものであり、自分はメインデッキの範囲ではメインギミックとプレイで妨害を作り出すことを理想としました
もちろん自分の手札や相手の誘発の量と質次第では妨害を作れなかったり乗り越えられることもあり、罠などの妨害に枠を割いた方が先攻の勝率は上がります。しかしそれ以上に後攻で誘発の引く引けないが勝率に直結すると判断し、誘発を優先しました
罠が先攻の妨害のみであるのに対し、誘発が先攻後攻どちらでも妨害としてカウントすることができることも一つの要因です(罠より質が劣る場合が多いですが)
よって誘発を積むことをスタートとしました
誘発の選択については割愛します。自分がミラーにおいての質が高いと思った誘発を最大限投入しました
2.メインギミック
次にメインギミックの選択です。ここで一番重要視したのは必要最低限なギミックで収めることです
まず、どのデッキのメインギミックにもいえることですが、メインギミックのカードが果たす役割は主に3つです
1.デッキを回転させるために必須なカード
2.デッキが回転したときに求められるカード
3.器用な選択肢として求められるカード
1番はこのデッキでいうRESORT、ドローン、ダンディ、ジーニアスなどの必須カードです
2番は救出、グレース、ボルテックスなどが当てはまります。ボルテックスにつける意味ではラストリゾートも当てはまりますが、自分の中では3番に位置付けています
3、先ほど言った通りラストリゾートが当てはまります。盆回しの解除、ボルテックスのパワーアップ、ヘリックスやボルテックスへのうさぎケア、ジーニアス+ソウルチャージの展開を可能にする札、耐久やダイレクトでの勝利など様々なシーンに対応するカードです
今回はこの中で2と3の項目を最低限に削り、誘発やパワーカードに当てることを目標としました
SPYに関わらず、2と3のカードはデッキが回って始めて機能することが多いです
もちろん素引きした場合でも役割を持てるかもしれません。しかし、このインフレ環境においての目標は「デッキを回すこと、相手のデッキを回させないこと」です
今回の場合は救出がその例に当てはまります
もちろん救出は素引きした場合にも力を発揮できますし、長引いたときにかなりの強さを発揮してくれるカードです。しかしその枠がメインギミックを動かしてくれる札だったらどうだったか?はたまた自分が後攻だったとき救出が誘発だったときどう試合が変わったか?そう考えたときに無駄な枠を削ることは大きな意味を持ちます
逆にこの枠を削るときに問題となるのは「対応力の低下」です
しかしSPYのようなパワーで押し切れる環境トップのデッキにおいては、そのパワーが対応力の問題を一気に解決してしまうことが多々あります
メインデッキで対応力を犠牲にできるのは環境トップの特権です。なぜならメイン戦でデッキの穴を突かれたとしても、その有り余るパワーの使い方によってその穴を器用に補うことができる場合が多いからです
SPYの弱点を突いてくる環境二番手以降に対して、理解度を高めてこちらも弱点を突き返してパワーの差で勝負することが一番の解決策です
仮に穴を補いきれずメインを落としたとしても、サイドデッキで穴を補うことでそのパワーをフルに発揮し残りの2本を取ることができることがほとんどです
この考えを元に削った結果が下の写真です
各カード具体的な理由もありますが、今記事で重要視しているのは構築の詳細ではないので省略させていただきます、何か質問があればTwitterの方までよろしくお願いします
その他パワーカード
メインギミックに触れるパワーカードを押し込みました
ゴウフウ、ソウルチャージ、ワンフォーワンについては省略します
トーチゴーレムですが、否定意見もあるものの1枚での事故解決性能、うらら(チェックできた場合うさぎ)の貫通能力を見込んで採用しました
何より1枚初動になり得ることがとても大きく、トーチを引いた試合にトーチ以外(メインに入っていないカードを挙げると、複製3枚目やダンディなど)だったらどうなっていたかを毎回考えてプレイしたところ、トーチ以外では勝てない試合が多く存在しました
逆にトーチに誘発を踏んでしまった試合などはトーチでなくても勝てない試合が多くあり、リスクよりリターンの方が大きいと結論付けました
リスクが目立ち採用していない方も多いですが、メインギミックを軽量化する思考を貫いている以上1枚初動は外せない存在でした
トーチの採用を決めた時点で残りの枠は2枠、まずパワーカードかつメインギミックの複製術を2枚採用しました。申し分のない優秀なカードです
ここで構築の選択肢として多数浮かびます
ここで構築を打ち切る?複製術3枚目、ダンディ2枚目を入れてデッキを増やす?誘発を減らして複製やダンディをメインに押し込む?など
自分はここで構築を打ち切ることを選択しました、なぜなら誘発を入れることスタート地点に設定したからです
思考の根幹を誘発を引くことに設定したからには忠実に、40枚でベストを尽くすことを選択しました
こうして40枚が決まりました
最後切り落とした部分がメインギミックである以上、事故の問題が懸念されます
この構築を作った後の調整では常にその点を頭に入れながらプレイしました。誘発が違うカードだったら勝っていたのか?もしくは誘発を引けたおかげで勝てたのか?
そして調整を続けた結果、事故は少なく前者より後者の方が多いという結論になりました
これでメインデッキが完成しました
そしてこれを補うようにサイドデッキを組んでいきます
3.サイドデッキ
メインデッキは対応力を犠牲に対SPYの勝ち筋を積極的にもぎ取る構築でした。よってサイドデッキで意識することは主にこの補完になります
・犠牲になった対SPY以外への対応力を取り戻す
・対SPYへの負け筋を減らす
この2つを目的としていきます
まず対応力についてです
ほとんどの環境トップにおいて必要な対応力は、主に永続や置物による完封への対策です
環境2番手以降が環境トップにパワーが劣っている以上、永続や置物に頼りパワー差を埋めることが多いからです。対Pデッキの魔封じなどが最たる例でしょう
次に負け筋を減らすということですが、圧倒的先攻環境において余裕があるのはもちろん先攻です
なので、この場合の「負け筋を減らす」というサイドチェンジをできる余裕があるのは大体の場合が先攻です。詳しくは後述
今回チョイスしたのは、これらカードです
具体的なカードの説明は読み飛ばしても構いません
まず対応力の面について
タフネスは最強の選択肢カードです。虚無魔人などの前盤面での制圧などの回答をRESORTから拾えるこのカード1枚で担うことができ、また相手の罠などを鑑みたスローなゲームもこの1枚で有利に持って行くことが可能です
盤面に触れられるメインギミックは大変貴重なものであり、デッキの強さを支えています
ダンディ2枚目は、素引きすれば簡単に手数が増え罠を踏むことができる万能カードとして投入しました
素引きしていれば悪夢や勅命にも対応できるため後手の捲りに大きく貢献します
メインで入らなかったラストリゾートは、どのデッキにも器用に立ち回れるためサイドからin
ラストリゾート付きボルテックスを課題としてるデッキが多いことから分かる通り、かなりの脅威として成立します
羽ツイツイは無難に後ろを割るカード
ヴェーラーに関してはリンクヴレインズパック発売後の混沌とした先攻展開環境への対策として幅広く対応できる誘発として採用しました
できればサイド後はピンポイントで尖ったカードを採用したいところでしたが、対応すべき対象が広くなおかつ完成した盤面を突破する難易度が高いため動きを0にできる誘発に頼らざるを得ませんでした
これが対応力を上げていくカードです
次に負け筋を減らすカード
先ほど確認した負け筋を振り返っていきます
・誘発を打たれ、盤面が弱くなった(特にG) 先攻視点
・相手に盤面を作られ妨害を踏めなかった 後攻視点
これを解決するように構築していきます。
誘発を打たれても妨害を作る一番の方法は、罠を入れることです
展開が決まらなくても、ターンさえ帰ってくれば再び展開することができアドバンテージの差を突き放すことができます
相手側からすると1ターン目に誘発を打っている以上、第二波を防ぎきることは容易ではありません
今回チョイスしたのは
アーティファクトの神智
王宮の勅命
です。これらを、メインデッキにおいて勝ち筋を狙うために投入していた手札誘発と交換します
神ではない理由は、単純にミラーにおいて神よりも強いシーンが多かったからです
後手視点に立ったときに、相手の伏せが神だった場合突破可能だけど神智、勅命だった場合にはどう足掻いても不可能、というシーンが多く存在しました
次に後手の課題ですが、これが難問です
相手に盤面を作られ妨害を踏めなかった 後攻視点
これを無くすには、単純に誘発を引かなければ話になりません
展開が決まってしまえば、相手は数々の妨害を増やしていきます
もし誘発を打っていれば1妨害で済んでいた盤面が、誘発を持っていないゆえに4、5妨害になる、ということがほとんどです
そう考えたときに誘発以上に貴重なカードはありません
誘発の代わりに入れた後手捲りのカードが崩してくれる妨害の数より、誘発が減らしてくれる妨害の方が多いからです
なのでメインデッキに積めなかった誘発を追加したいところです
ですが自分の中で合格水準を満たす誘発は他に存在しませんでした(人によっては他にも採用していたかもしれません)
この環境での誘発というものは、打って多少でも効けばいいというような甘いものではありません
手札の大事な1枚を使っている以上、ある程度の効き目があるもので無いと意味がありません
効き目の薄い誘発を入れるとどうなるか、例を挙げて見てみます
(今回は誘発に焦点を当てていますが、誘発以外のカードにも当てはまります)
例
効き目の薄い誘発+誘発以外のカード
効き目が薄いため貫通する場合が多い、と考えると誘発の役割を果たせていません
この場合は誘発が誘発以外の違うカードでも展開されてしまうため結果に大差無いでしょう。しかし大事なのは次のパターンです
効き目の薄い誘発+強い誘発+誘発以外のカード
強い誘発を打って止まり、妨害が減ってターンが帰ってきたとします
しかし手札には効き目の薄い誘発が浮いてしまい展開ができない、または展開ができるものの相手の妨害のせいで手数が足りない可能性があります
つまり効き目の薄い誘発は、強い誘発の価値を下げていることになります
この話は信用率として以前の記事でも紹介しました
要するにある程度の水準を満たしていないのならば、他の誘発を打った前提で考えて勝率に直結するカードの方が全体の勝率が上がる、ということです
以上の理由からSPYミラーにおいて誘発を追加する選択を切りました
よって誘発を打ち妨害を減らせたときにその妨害を踏み越えられるカードを採用しました
死者蘇生がその一例です
手数を増やし、神などの妨害を踏み越えヘリックスを通すことを目標にしています
対応力の面で増やしたタフネス、ダンディなどもミラーで増やしていきます
羽はinし、ツイツイは神とアーティファクトの流行具合によって採用を検討しました
サイドデッキに関しては以上です
エクストラはただ使うものを15枚投入しただけなので割愛します
最終的なSPYの構築はこのように落ち着きました
SPYに関わらず、あるスタート地点を決めてそれに従い芋づる式に構築を作ることはどの環境でも有効な手段です
しかし逆にスタート地点の理論が間違っていた場合、デッキ全体は正解から果てしなく遠くなってしまいます。なので、調整において逐一理論が間違ってないかを確認しながらプレイしなければなりません
ですが今環境においてはそれが難しかったように感じます(後述)
また、これは自分自身の問題ですが今環境では他人と意見をぶつけ合う調整が少なかったような気がします。ただ単に先攻展開できたorできなかったの調整が続き、密度の濃い調整ができなかったことが大きな反省点でした
おわりに
自分は漠然と強いデッキを目標にするのではなく、根本となる考えを忠実に矛盾無く積み立てていきその結果に強さを求めることを理想としています。もしその結果勝率が芳しく無かった場合には最初の理論をもう一度見直し、また1から構築していくことでデッキをより良いものとしていきました
しかしこの環境はそれが難しい環境でした。SPYミラーの調整は常に殺伐としたものであり、先攻展開に誘発無しで負けたり貫通して終わる試合もしばしば。互いのやりとりが少ないゲームの連続でした
その中で自分の理論を確認できる試合は多くなく、答えに近づいているのか分からずに迷う日々でした
そんなSPY環境は、「無数のゲームの中で、自分を成長させてくれるシーンを発掘していく環境」だったと自分は感じました
この混沌とした先攻環境の中でもプレイと呼ばれるものは無数にあります。逆にこんな環境だからこそ、プレイを実感するシーンはとても重要なものになってきます
自分のプレイが当たり前であると思った瞬間に大事な思考の種は消えてしまいます
強いプレイヤーとは
ゲームの中で選択肢の答えを正確に導き出せるプレイヤーというだけではありません
ゲームの中のあらゆる場面で選択肢を探し出す姿勢こそが強さの理由であると自分は思います
プレイというものが正解のある問題であるとするならば、問題を解くだけではなく、その問題自体を探していく
プレイが関係無いと思っている場所にもプレイが潜んでいる。プレイ以外の面が大きく絡んでくるこの環境だからこそ、プレイが絡むシーンが貴重になってきています
そんなシーンを待つだけではなく自分で探しだすこと、これがどの環境で大事になってくると思います
最後になりますが、サモンソーサレスやリンクヴレインズパックなどで力を得たデッキが今後どのような環境を作り出すかが楽しみです!
ではまた次の環境で!
追記 ブログについて
今回や今までのブログでは具体的な構築よりも遊戯王への姿勢や理論など、具体ではなく抽象寄りの記事を書いてきました。このスタンスは今後も変わらないと思います
その理由として「遠い未来、もしくは違うゲームをプレイしていても、読んで何か感じる事ができる記事」を目指しているということがあります
各採用カードを話しながら自分の内にある理論を滲ませて伝えるのは難易度が高いのと、文字数が多くなってしまうので自分は片方に絞ってます><
具体的な構築の記事のほうが好き!って方はすみません笑 Twitterにはいい記事を書いている方がたくさんいるので是非見てみてください!自分もよくブログをRTしてます!
逆にこういうのが好きっていう方(もしいたら嬉しいです)過去に書いた記事がいくつかあるので時間があったら是非!
今年も終わりということでSPYの事だけではなくブログ自体にも触れてみました
先ほどは書かないと言ったものの、具体的なデッキ解説の記事もいずれ書いていきたいなと考えています
来年もよろしくお願いします!
おわり